V-Sido(ブシドー)
ロボット制御ソフトウェアV-Sido(ブシドー)は,当時奈良先端科学技術大学院大学の学生だった吉崎航氏が個人で開発したソフトウェア.2010年ごろにV-Sidoに関する動画がニコニコ動画に複数投稿されており,V-Sidoの機能についてはそちらの解説がわかりやすい.吉崎航氏は現在,ソフトバンクグループの子会社であるアスラテック株式会社の事業企画本部チーフロボットクリエイターとして活動している.2014年6月11日にアスラテックはヒューマノイドロボット向けOSとして「V-Sido」を含めたロボット事業に関する発表を行った.
V-Sidoの機能
V-Sidoは以下の3つをコンセプトに開発された.
・リアルタイムな操縦が可能であること
・シミュレーターと同期して動作を安定化できること
・操作補助を加えてできるだけ簡易にロボットを操作できること
サーボモータからの情報を取得,ロボットの体勢からリアルタイムに重心を判定し,物理シュミレーションと連携して転ばないようにモーションデータを自動生成する.ジャイロセンサーなどを用いずにサーボモーターと予測制御のみで安定した歩行を実現することも可能らしく,実際にはこの予測制御に加えてジャイロセンサーなどの情報も組み合わせて精度の高い姿勢制御を行う.この機能によって,外力や衝撃が加えられても安定して動作することができ,また手先や足先の位置を大まかに指定するだけで動かすことができる.個々のサーボモーターの制御についてユーザーが意識する必要はない.KinectやOculusRiftとの連携もできるらしい.
汎用性
V-Sidoは対応したロボットであればどんなロボットでも同様のインタフェースで操作することができる.「すべてのロボットを巨大ロボットにすることができる技術」らしい.実際に,油圧モーターで動く搭乗型の大型ロボット「クラタス」の制御ソフトウェアとしてV-Sidoが使われた話は有名だ.ロボットの姿勢制御について汎用的で強力なプラットフォームが存在することで,開発者は知能システムなどのソフトウェアよりの開発に専念することができる.ソフトバンクグループの「Pepper」についての発表にもあったクラウドAIなどの技術との連携も図りやすくなる.V-Sidoの位置づけROSなど他のロボット開発プラットフォームとの違いとして,V-Sidoはよりハードウェアに近い制御を行うとしている.ROSなどロボットの全般的な機能を扱ったプラットフォームの一部としてV-Sidoを用いることも可能だという.
参考
ヒューマノイドロボットのための演技指導ソフト「V-Sido」
http://vsido.uijin.com/index.html
iPhoneでロボット操作=V-Sido(ブシドー)forSmartphone
【湯川】
http://techwave.jp/archives/51465094.html
ロボットを人に似せる意味は何か~ヒューマノイドロボットのデザイン
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/kyokai/20131118_623991.html
【V-Sido】赤い彗星のMSを市販機ベースでつくってみた
http://www.nicovideo.jp/watch/sm126933021