はじめに

こんにちはFukadaです!高校の時より大学に入ってからの方がゲーム時間減ってしまいました。

ぷよぷよは息の長いゲームです。もうすぐ無印ぷよぷよの発売から30年が経とうとしています。ぷよぷよはビデオゲーム初期からあるゲームタイトルなので、当時のゲーム機のスペックや時代背景などが如実に反映されています。よってその歴史を追ってみると様々なことを感じ取ることができます。今回は敵AIという視点から主に無印と最新作でどのような違いが起きているか見てみます。さらに公式とは別世界線、有志でのぷよぷよAI開発についても見ていきます。

※ 執筆者はすべてのナンバリングをプレイしているわけではないことをご了承ください。

公式によるAI開発

無印ぷよぷよ

▲ ほぼ同じ内容でスーパーファミコンソフトとしても発売された

1992年に登場したゲームです。現在からみると非常にゲーム機のスペックが低かったのと、ぷよぷよ敵AIを作るノウハウが存在しないため強いAIを作ることはできませんでした。よって強さを求めず特徴づけることに重点を置いています。このゲームは連鎖ボイスのさきがけでもあり、今後このシリーズがキャラクタを前面に押し出す一つの要因にもなりました。

  • 全く回転を使わないスケルトンT
  • ゲーム開始直後に最も左と右の列に積み続けるハーピー積み
  • 適当にぷよを右3列に並べて運で連鎖を狙うカエル積み
  • ゲーム中最高速度でぷよが落ちてくるサタン

彼らの仕様は後の作品にも受け継がれることになります。
相殺という根幹システムがなく、AIは大きな連鎖を組む必要がなかったため、複雑なAIを作らなくても成り立っていました。

無印ぷよぷよの難易度はAIの賢さよりも、ぷよの色数と落下速度によって調整していました。初代ぷよぷよはテトリスの影響を非常に強く受けているため、テトリスと同様に落下速度での調整が主となっています。

あとがき画像
▲ テトリスLIKEなことを公式でネタにしている

ぷよぷよ通

▲ 通には”2(two)作目”, “通信対戦可”, “通好み”といった意味あり

相殺システムが採用されたことにより大連鎖を基本とした戦略性が生まれました。現在でも大会が開催されるほどに完成されたゲームといえます。
このころの敵キャラクタは相殺に対応することはあまりないですが、初代よりも少し連鎖力が上がっています。単純なスペック上昇ですね。

ぷよぷよeスポーツ

▲ eスポーツ推進のため価格が安い代わりにモード削除

突然年月が飛びましたが、現状の最新作です。価格を安く抑える観点からストーリーモードが収録されていないため、個性のあるAIというものは全く登場しません。対戦をメインとしたAIが収録されております。新規プレイヤーもさることながら古参プレイヤーが増えたため、AIの強さにも段階が必要になってきます。初代のような置き方による個性の付け方はなく、ルールベースでぷよを置く場所を決めており、そのパラメータを変更することで難易度調整をしているものと思われます。技術が無印と比べても格段に向上しましたが、キャラクタの個性は減少した形になります。これは前作ぷよぷよテトリスからすでにみられていた傾向です。置き方による個性が無い分、どのキャラクタも人間らしい強い手を打つことができるようになったため、敵AI全体としては進歩しています。

有志によるAI開発

有志でぷよぷよのAIを開発しようという試みが2016年前後に盛んになりました。目的は人類を倒す強いAIを作ることです。ぷよぷよの状態数は10^116なので研究の題材として適しています。チェスが10^50、将棋が10^71だと考えると非常に大きい数字であることがわかります。

▲ 有志開催の人類vsAIにはもこう先生も登場

さらにぷよぷよは落ちものパズルであることから、囲碁や将棋以上に速さが求められます。結果として有志が作成した強いAIは、昔から多くのゲームAIで用いられているルールベースの決定方式を採用していることがほとんどです。しかし最も強いものは最上位勢クラスの強さがあります。近年実用化されるようになってきたDeepLearningを用いた方式では状態数が多すぎたり、最適解を出すには掛けられる時間が短すぎるのです。

しかし2018年ごろからDeepLearningを用いたAIの開発もチャレンジされています。理由はPCスペックの上昇とルールベースに限界が見えてきたからです。ルールベースは細かなパラメータ調整に職人的な技能が必要です。制作者よりも劇的に強いAIを作るのは難しいのです。

現状あまり芳しい成果は出ていないようで、DNNを適用できなかったとされる論文も出ているほど難易度が高いです。これはぷよが4つ以上結合したら消えるという仕様上、畳み込み演算が機能しにくいことなどが考えられます。同時期に、ある程度成功している例もみられるためやはり実装が難しいのでしょう。最近はこの界隈の更新が乏しく、難航しているのかもしれません。しかし公式とは違うアプローチをとっていて、調べてみると非常に面白いです。今後に期待ですね!

最後に

多くの人に遊ばれる商用ゲームのAIは、スペックが十分間に合っている現代でも、強さよりも”それらしさ”が大切になることがよくわかります。絶対勝てない敵がいても、プレイヤーは面白くないですからね。ミニマックス的な実装方法が必ずしも最適解ではないという事です。無印は特定のキャラクタらしいAIが実装され、現代はできるだけ人間らしいAIが求められ実装されていることが分かりました。強さを求めるのは今後の有志の開発に期待がかかります。

ゲームAIは将棋や囲碁などが注目されがちですが、人類を超えたことで一旦落ち着いたと見ています。これからは、まるで人間であるかのような振る舞いができるAIへの注目が今まで以上に高まりそうです!

▲ ぷよぷよテトリス2が3日前に発売!AIに大きな変化はなさそう

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